2010年12月29日

やっぱ通帳にしてつかあさい

店舗がたくさんある銀行なんだけど、自分の口座、インターネットバンキングにしとった。
で、
ずいぶん前に、なんと呼ぶのか知らんが暗号カードを無くした。ログインするときに必要な乱数表みたいなのが載ってるカードだ。
再発行してくださいって電話したら、書類送るから記入しくさって送り返せヘタレって言われた。
郵送で書類が届いた。

その書類を失くした。
それから1年ぐらい放置した。
理由はとくにない。めんどくさかったから。
しかし、ふと考えた。
電気・ガス・水道・電話・携帯電話・新聞・アマゾン・エロサイトの購読・ディアゴスティーニの料金などなど毎月ただならぬ額が口座から引き落とされているはずなのに、全く確認していないのだった。
さらに、知らない間にATMの中の小さい人が残高をごまかしている可能性はゼロではない。
青くなった。

いや、
赤かったかもしれない。

それはどうでもいい。

で、
今日は暇だ。
なのでこの問題を解決すべく、閑散とした大手町の銀行窓口に出かける。
インターネットなんてしゃらくさいことしてるからこうなる。男は黙って紙の通帳。
紙でペラペラめくってニマニマしたりムカムカするのが銀行の通帳ってもんすよね。
そういや、「ぬわぁぁにぃぃぃぃ!?男は黙って○○!」と言っていた餅つきのかっこしたコメディアンどこいったのかなあ、M1、笑い飯優勝ってどゆこと? ぜってージャルジャルとスリムクラブの方がおもしれえ、中田カウスムカつく、などと考えていると呼ばれた。早い。こういう手続きは郊外の支店でなくて、ビジネス人しかいない本店営業部に限る。

「実在する通帳にしてつかあさい」
「あい」

なんやかや書かされてハンコを押して十分待たされる。

「お客様」
「へい」
「これ過去の履歴でござあすけど」
「ほう」
見ると、
平成十六年。
何のことだかよく分からない人に念のため説明すると、日本の元号が昭和から平成に変わってから十六年の歳月が流れたまさにその時ということだが、
この年に儂はなんと、通帳を紛失して届け出ていたのだ。
その後の履歴はどうなっているかというと、

通帳紛失→届出→同日にインターネットの通帳無しタイプ口座へ移行→同日通帳再発行手続きせず→以降そのまま。

どういうことかというと、このときに
「け、通帳失くしちまったよ。いまどき通帳なんて爺むさいもん使ってるからいかんのだよ。アナクロってやつだね。古いんだよ、ったく。世はインターネットの時代すよ。略してネット。ふふ、やつがれはインターネットバンキングで行くぜ。略してネットキング。略してネッング。イケテル俺。通帳の再発行?、何寝ぼけたこと言ってんのさ。おいらはインターネット1本で行くのさ、そんなとろくしぁあものいらんぜよ、なう」
などとしゃらくさ野郎だったのだ。

それが何だ。
何だよ。こんだあ通帳をくれだ。
ププー、クスクスクスクスという空気を頬の内側にぱんぱんにさせたテラーの姉さんが聞く。
「どうしましょうか」
あ、そのつまり、うちのネット環境が、回線ででしてね、
などと小声で理由にならないいいわけをぶつぶつひと通り唱えてから、さも当たり前のように、
「ですから通帳発行してくださいよ」
と言った。
うん、実に大人の男らしい堂々とした主張であると満足してカウンターで威張っていると、
「再発行手数料1050円かかりますがどうしましょう」
と言われたので凹んだ。

以上。