広島県在住36歳の人。
23年前、中学生のときの話。
父親の勤務先の関係で京都から広島に引っ越した。
毎週土曜日は英語の学習塾に通った。
塾に持っていく辞書が必要だ。買ってはいたのだが、持ち運びには大きくて重い。
でも調度よい小さめのマンガ本サイズぐらいの辞書があった。
京都にいたとき、「大学に入学してもう使わない」という近所のお姉さんに貰った辞書だ。
そのお姉さんはコスギさんというのだが、歳がはなれていたこともあってそれほどの面識はない。
近藤真彦の大ファンで、母親が呆れて、「コスギさんったら、マッチを見に京都から東京までわざわざ行ったんだってよ」と言っていたのを覚えているぐらいだ。
お姉さんはその辞書を中学の卒業記念で貰ったのだそうだ。
その辞書を持って塾に通った。
ある夏の日、塾の授業で居眠りをしてしまった。
目が覚めると授業は終わっていたので荷物をまとめて塾を出たが辞書を忘れたことに気づいた。
取りに戻ると自分の机にしまったままだった。それをかばんに入れて帰宅した。
次の週。
同じ塾でほかの学校から通っている生徒に話しかけられた。
その生徒に「僕の辞書を知らないか」と聞かれた。
前週の授業の際に辞書を塾に忘れてしまい、取りに戻ったが机の中には無かった。
その人は貰った辞書をとても大切にしていたので、塾の事務に忘れ物の届け出がないかも確認したがそれも無い。
「君、間違って僕の辞書を持ち帰っていないか」
聞くと、その人は、近所の大学生のお姉さんから「大学ではもう使わないから」といって辞書を貰っており、
辞書はそのお姉さんの中学の卒業記念。
辞書の表紙には、お姉さんが通っていた中学の名前が印字されているという。
自分と同じようなエピソードを聞かされて訳がわからなくなったので、その日はかばんから辞書を出せずに授業を受けた。
家に帰って、気にも留めていなかった辞書の表紙を確認すると、
広島の中学校の名前が印字されていた。京都ではなかった。
パニックになり母親に小杉さんのことを聞いた。
母、
「小杉さんなんておうち、知らないわよ」
「伊集院さん、これって空脳(そらのう)でしょうか」
でお馴染み。
JUNK、伊集院光、深夜の馬鹿力(TBSラジオ、1月31日放送)の「空脳」というコーナーで取り上げられた投稿の話が面白かったので書いてみた。
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